[児童福祉施設/施設保育士]とは? 必要な条件・資格、仕事の内容、メリット/デメリット

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保育士の就職先には「施設保育士」というものもあります。

児童福祉施設は保育所を含め14種類あり、通常そのうち保育所を除いた13施設で働く保育士を「施設保育士」と呼びます。

児童福祉施設/施設保育士」とは何か、必要な条件・資格、仕事の内容、メリット・デメリットなどを解説します。

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「児童福祉施設(施設保育士)」とは?

「児童福祉施設(施設保育士)」とは、児童福祉法における児童福祉施設に勤務し、子どもたちの生活・自立支援を担当する仕事です。

児童福祉法における児童福祉施設とは、以下14の施設を指します。

  1. 助産施設
  2. 乳児院
  3. 母子生活支援施設
  4. 保育所
  5. 児童厚生施設
  6. 児童養護施設
  7. 福祉型障害児入所施設
  8. 医療型障害児入所施設
  9. 福祉型児童発達支援センター
  10. 医療型児童発達支援センター
  11. 児童心理治療施設
  12. 児童自立支援施設
  13. 児童家庭支援センター

上記の施設のうち保育所を除く13が、「施設保育士」の働く場となります。

  • 虐待を受けた子どもや保護者のいない子ども
  • 専門的な治療や支援を必要とする子ども

などの子どもたちと接し、支援を行うことが施設保育士の仕事です。

14の「児童福祉施設」とは

14ある「児童福祉施設」について、それぞれの内容や違いを表にまとめました。すべて保育士資格で就ける仕事です。

助産施設妊産婦が、経済的な理由によって助産所で病院・診療所等の医療機関で助産を受けることができない場合、医学上・保健上安全に出産できるように、出産を援助する施設。
乳児院1歳未満の乳児を主に養育し、退院後も必要な相談援助を行う施設。必要に応じて小学校入学前の幼児も養育する場合も。
母子生活支援施設母子家庭の母と子(児童)を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設。1998年以前は「母子寮」と呼ばれた。
保育所保護者の委託を受けて、乳児から小学校入学前の幼児を保育する場。
児童厚生施設1歳以上の児童を養育し、児童遊園、児童館など児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、または情繰をゆたかにすることを目的とする施設。
児童養護施設保護者のない児童や虐待されている児童など、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設。
知的障害児施設保護者に代わって知的障害のある子どもを専門的な立場で支援する施設の総称。
知的障害児通園施設発達障害をもつ幼児を対象に、通園しながら、年齢や障害に合わせた療育を行う施設。
盲ろうあ児施設強度の弱視を含む「盲児」または、強度の難聴児を含む「ろうあ児」を入所させてこれを保護するとともに、独立自活に必要な指導又は援助をすることを目的とする施設。
肢体不自由児施設上肢、下肢または体幹の不自由な児童を治療するとともに、独立自活に必要な知識技術を与えることを目的とする施設。
重症心身障害児施設重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複する児童を保護し、治療および日常生活の指導を行う施設。
児童心理治療施設家庭環境、学校における交友関係その他の環境上の理由により社会生活への適応が困難となった児童を、短期間、入所させるか保護者の下から通わせて、社会生活に適応するために必要な心理に関する治療及び生活指導を主として行う施設。退所した者について相談その他の援助も行う。
児童自立支援施設不良行為をし、またはするおそれのある児童などを入所させて、必要な指導を行い、その自立を支援する。かつては感化院、教護院などと呼ばれていた。
児童家庭支援センター地域の児童の福祉に関する問題につき、児童、母子家庭その他の家庭、地域住民その他からの相談に応じ、必要な助言、指導を行う。児童相談所、児童福祉施設等との連絡調整その他厚生労働省令の定める援助を総合的に行う。基本的に他の児童福祉施設に併設される。
14の児童福祉施設

「施設保育士」と一般の「保育士」との違い


子どもたちが保護者の養護を受けられない理由はさまざまだ。「児童養護施設入所児童等調査の概要(平成30年2月1日現在)」より

施設保育士と一般的な保育士の大きな違いは、施設の運営目的です。

保育園の運営目的は、児童福祉法において、次のように定義されます。

日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設とする。

つまり、保育園は、「保護者の委託」を受けて保育を行う施設ということになります。

しかし、世間には虐待や両親との死別などにより、保護者の委託を受けるのが困難な子どもたちがたくさんいます。

それらの子どもたちは支援を必要としています。

何らかの理由で保護者からの委託を受けられない子どもたちに居住空間を提供し、心身の状態や成長段階に応じた支援を行い、彼らの生活を守るのが児童福祉施設の目的であり、施設保育士の仕事です。

仕事の内容

「施設保育士」と言っても、担当する仕事内容や保育を提供する子どもの年齢・属性、働き方は種々さなざまです。

たとえば、児童養護施設の場合、児童指導員、個別対応職員、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員、嘱託医、看護師など多くの職種の職員が配置されているため、それらの職員とのスムーズな連携を図るコミュニケーション能力も求められます。

施設保育士になるための資格・知識

「施設保育士」として働くためには、保育士資格が必要です。

また、以下のような素養やスキルも求められます。

忍耐力、寛容、包容力

問題行為の見られる子どもに対しても諦めることのない忍耐力、寛容さ、包容力が必要な仕事です。

心のケアに関する知識や専門資格

児童心理学やチャイルドカウンセリングの基礎知識を習得するなど、心のケアに関する知識を身につけましょう。

「施設保育士」のメリット・デメリット

※画像はイメージです。

「施設保育士」のメリット・デメリットとは何でしょうか。

メリットとデメリットとはオモテとウラの対(つい)の関係です。

どりらに目を向けるかで、捉え方は変わってきます。

メリット

  • 自立に向けたサポートを通じて子どもの成長を実感し、やりがいを感じる。
  • 保護者的な役割も担うため保育所における子どもとの関わりよりも緊密な関係
  • 心身に傷を負った子どもたちと真剣に向き合うことで保育士自身も人間的に成長できる。
  • 社会貢献をしている充実感

デメリット

  • やりがいが大きい分だけ責任の重さがある。
  • 生半可な気持ちで臨むと早期離職に。
  • 365日・24時間の体制なのでシフト制ではあるものの不規則な生活を強いられる。
  • 保護者的な役割をも担うため心身ともにハード

気になる給与・待遇

給与・待遇について求人情報を調べた中から幾つかの例を紹介します。

児童福祉施設の求人を探しましたが、児童養護施設か児童館の求人がほとんどでした。

児童養護施設の保育士

給与4大卒初任給本俸 173,900 円
手当調整手当 9,120 円、特殊業務手当 8,500 円、宿直手当 3,500 円/回(月4回程度)
賞与4.20ヶ月分
特別加算支給10万円
雇用形態正社員

児童養護施設の保育士

給与大学 月給 200,328円
短大 月給 181,607円
専修学校 月給 181,607円
賞与年2回2.84ヶ月
特別加算支給10万円
雇用形態正社員

児童養護施設の保育士

給与専門学校・短大卒以上/月給181,607円~ ※給与は、特殊業務手当6700円、月8h分の固定残業手当(9,907円以上)含む。8hを超える時間外労働は追加で支給。
手当宿直手当1回4,200円(平均月3回)、通勤手当
雇用形態正社員

児童養護施設の保育士、児童指導員(正職員)

給与月給 224500円 ~ 236900円 年収 3650000円 ~ 3860000円  
手当宿直手当 1回4,200円
賞与年2回、合計4.3か月分
昇給年1回
雇用形態正社員
休暇休日休暇 4週6休制、祝日相当数 、夏季休暇3日、年末年始休暇6日、慶弔等特別休暇

児童館スタッフ

給与月収192,150円〜240,000円 
賞与年2回
昇給年1回
雇用形態正社員

児童厚生員

給与月給180,500円~230,400円(正社員)
手当扶養手当、住居手当、時間外勤務手当、退職手当等
賞与年2回、年間平均4.4ヶ月
昇給年1回
雇用形態正社員
勤務日勤務は 1週間あたり40時間(4週8休制)
福利厚生健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険・貸与被服・健康診断等

児童福祉施設職員

給与160,600円〜229,200円(正社員)
賞与あり
昇給あり
雇用形態正社員
手当宿直手当 1回4,000円、住宅手当 20,000円、通勤手当、早朝深夜勤務手当、処遇改善手当、子ども手当等

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まとめ

「施設保育士」とは何か、必要な条件・資格、仕事の内容、メリット・デメリットなどを解説しました。

「施設保育士」は、下記のようなやりがいや充実感を求める保育士に適した仕事です。

  • 自立に向けたサポートを通じて子どもの成長を実感し、やりがいを感じる。
  • 保護者的な役割も担うため保育所における子どもとの関わりよりも緊密な関係
  • 心身に傷を負った子どもたちと真剣に向き合うことで保育士自身も人間的に成長できる。
  • 社会貢献をしている充実感

しかし一方で、下記のように責任や心身にかかる負担が大きいのも事実です。

  • やりがいが大きい分だけ責任の重さがある。
  • 生半可な気持ちで臨むと早期離職に
  • 365日・24時間の体制なのでシフト制ではあるものの不規則な生活を強いられる。
  • 保護者的な役割をも担うため心身ともにハード

こうしたデメリットも承知したうえで、それでも社会的養護の担い手として日々の業務に従事し、子どもの権利を保護する仕事に魅力を感じる保育士には、「施設保育士」はぜひ検討していただきたい就職先です。

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