保育園には、認可の有無があることは知っていても、詳しい違いは理解できていない方が多いと思います。
でも、保育士としての仕事を探す際は、知っておくべきです。
そこで、認可保育園と認可外保育園の違いについて詳しく解説します。
認可保育園・認可外保育園(無認可保育園)とは
まず、認可保育園とは何かを見ていきましょう。
認可保育園とは
認可保育園は、児童福祉法において「保育所」という名称で定められている施設で、保育を必要とする乳幼児を保護者が連れて来て保育する場のことです。
国が定めたさまざまな設置基準をすべてクリアした、厚生労働省管轄の児童福祉施設で、都道府県知事に認可されています。
認可保育園には、市区町村が運営する公立保育園と社会福祉法人や株式会社などが運営する私立保育園があります。
認可保育園の主な特徴としては次のような項目が挙げられます。
- 定員が60人以上である(小規模保育園は19人以下)
- 0歳~小学校入学前の児童が対象だが、0歳児枠がない施設がある。
- 利用の申し込み受付や保育料の徴収は市区町村が行う。
- 11時間の開所時間が基本
認可外保育園とは
では、認可外保育園はどういう施設でしょうか。
「認可外保育施設」は、「無認可保育園」と呼ばれることもあります。
施設の広さや設備などが国の定める基準を満たさないため認可が受けられない施設です。
が、逆に国の基準に縛られないで済むことから英語やダンスなどを取り入れたりの個性を発揮できる施設です。
東京都が設けた、独自の基準をクリアした「認証保育園」と呼ばれる施設も含まれます。
認証保育園の主な特徴は下記のようなものです。
- 都市部の特性を踏まえた東京都独自基準を設定
- 全施設で0歳児から預けることが可能
- 全施設で13時間以上の開所が原則
- 利用者は保育園と直接契約
- 月額保育料は3歳未満で80,000円、3歳以上で77,000円を超えないように設定
認可保育園と認可外保育園の違いは?
認可保育園と認可外保育園の主な違いは以下の4点です。
- 設置基準
- 補助金の有無
- 保育料の設定
- 無償化の範囲
認可保育園と認可外保育園の違いについて、上記の項目別に解説します。
設置基準
認可保育園の場合、厚生労働省の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第(三十三条)」に基づいて子どもの年齢ごとに必要な保育士の「配置基準」が定められています。
また、施設設備についても子ども1人あたりの広さが決められています。
認可外保育園は、国の定める基準を満たしていない施設とはいえ、「認可外保育施設指導監督基準」によって、職員数や設備に関して一定の基準が設けられています。
そのうえ厚生労働省の指針に基づいて各自治体の立ち入り調査が定期的に行われるため、認可外とは言え、いい加減な保育環境であることはあり得ません。
補助金の有無
認可保育園は、国と自治体から補助金が受けられます。
そのため、運営が安定的です。
一方、認可外保育施設は、国や自治体から補助金を受けることができません。
先述したように独自の基準を満たした「認証保育園」を設け、補助金を支給する東京都のような自治体もあります。
国はまた、既存の認可外保育施設で認可保育園を目指す施設に対し、補助金を出して認可化を推進しています。
保育料の設定
認可保育園の保育料は、国が定める上限の範囲内で各自治体が設定しています。
認可保育園は、国や自治体から支給される運営費によって園を運営しているため、保育料を自由に設定することはできません。
一方、認可外保育園は原則として保護者からの保育料で運営をしているため、保育料を独自に設定することができます。
そのため、認可保育園より高額な保育料を設定している保育園がほとんどです。
無償化の範囲
現在、認可外保育園の場合、3歳から5歳までの子どもたちの保育料は無償化されています。
0歳から2歳までの子どもについても、住民税非課税世帯は無償化されています。
一時預かり事業や病児保育事業などを含む認可外保育施設の場合は以下のとおり保育料が無償化されています。
- 保育の必要性の認定を受けた3歳から5歳までの子どもは月額3万7000円まで
- 0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもは月額4万2000円まで
施設の規模や立地
認可保育園は、国の基準をクリアするため広い敷地面積が必要なので、駅から遠いことが多々あります。
一方、認可外保育園は、駅から近い施設が多くありますが、小規模なため、ビルの一室であったり、園庭がなかったりします。
保育運営方針
保育運営方針も認可と認可外では違いがあります。
認可保育園
公立の認可保育園は、各自治体が決めた保育計画に沿って運営しています。
一方、私立の認可保育園は、各運営母体が独自に保育方針を定め、それぞれの方針に沿って運営しています。
認可外保育園
認可外保育園は社会福祉法人や株式会社などの法人によって運営されており、運営母体によって保育理念や運営方針が大きく異なることがあります。
インターナショナルプリスクールのように英語教育に力を入れたり、リトミックを取り入れたりと、独自の教育を行う保育園も増えており、そうしたオリジナリティのある保育方針は保護者から歓迎されているようです。
転職状況
認可と認可外では、転職状況にどのような違いがあるでしょうか。
認可保育園
公立の認可保育園の場合、保育士は公務員であるため安定している、福利厚生が手厚い、など待遇が良いことから離職率が低く、求人自体が少なめです。
公立保育園の民営化によって、公立でありながら民間が運営する保育園も存在し、そのため民間が募集している場合もあります。
私立の認可保育園は、社会福祉法人や株式会社などの法人(民間)が運営しており、法人によっては都道府県をまたいで複数の園を経営していたり、全国展開していたりする場合があります。
また、私立の求人は、求人サイト(エージェント)が紹介しているため、公立保育園よりも求人が多く、仕事を見つけやすいと言えます。
【関連記事】[登録無料]保育士の転職求人サイトと学童・児童館の転職求人サイト合計14社比較>>>
認可外保育園(無認可保育園)
認可外保育園は、開園時間の長さや開園日数などが園によって異なります。
保育内容や方針、運動、英語、音楽などの教育なども園によって大きく異なります。
求人には認可、認可外を問わず、正職員以外に契約社員・派遣・パートなどの雇用形態があります。
また、未経験でもOKな求人も多数ありますので、求人サイト(エージェント)に気軽に相談してみましょう。
【関連記事】[登録無料]保育士の転職求人サイトと学童・児童館の転職求人サイト合計14社比較>>>
認可、認可外のメリット・デメリット
それぞれの園で保育士として働くメリットについて見ていきましょう。
認可保育園のメリット
- 安定的な経営
- 豊富な行事やイベントを達成する喜び
1,安定的な経営
国から補助金が支給され、施設管理費や人件費のほとんどが公費でまかなわれるので、経営不振に陥りにくく比較的に安定して運営されます。
2,豊富な行事やイベントを達成する喜び
一般的な認可保育園は園児が20名以上で、60名以上の大規模園もあり、そのため園はクラスも多く、広いホールや園庭があるなど施設環境も整っているため、季節ごとの行事やイベントが多く行われます。
子どもたちのためにイベントや行事を成功させることにやりがいを感じる方、達成感を味わいたい方にとってはメリットと言えます。
認可外保育園のメリット
認可外保育園で保育士として働くメリットとは何でしょうか。
- 得意分野を活かせる
- じっくり保育できる場合も
1,得意分野を活かせる
認可外保育園のなかには、独自のカリキュラムを重視して運営したいために、あえて認可を受けないという場合もあります。
英語、リトミックなど、さまざまな分野に力を入れている園もありますので、自分の得意分野を活かす機会があるかもしれません。
2,じっくり保育できる場合も
院内保育や病児保育、企業主導型保育など、認可外保育施設は小規模で運営されることが多く、施設規模が小さい分、子どもも保育士の人数も少ない傾向があります。
そのため、一人ひとりの子どもとじっくり関わり、ゆったりと保育できる場合もあります。
認可保育園のデメリット
認可保育園にもデメリットはあります。
- 保育士の人間関係が複雑な場合も
保育園の規模が大きいため保育士の数が多く、そのため保育士の人間関係が複雑となり、厄介な場合があります。
しかし、保育士の中には価値観が似ていて相性の良い人もいて人間関係の軋轢が緩和される場合もあります。
認可外保育園のデメリット
認可外保育園のデメリットは次のようなものです。
- 負担が大きい場合がある
- 人間関係が最悪になる怖れも
1,負担が大きい場合がある
保育士の人数が少ないため、保育士1人にかかる負担が大きい傾向があります。
2,人間関係が最悪になる怖れも
保育士数が少ないため、相性が良ければ最高の人間関係にもなり得ますが、相性が悪ければ最悪の状態にもなりかねません。
ただ、認可外保育園は保育士ひとりあたりの負担が大きいため、人間関係がこじれるほどのヒマがないといった意見もあります。
就職・転職するときのポイント
入職したい保育園を探すときのポイントをいくつか挙げてみましょう。
園を事前に見学する
就職・転職する際は、事前に園を見学し、施設の環境をいろいろな角度から確認することをおすすめします。
注意深く観察すれば、園がどんなに取り繕うとも必ずや真実が垣間見えるからです。
園の保育時間をチェック
認可外保育園で働きたいと考えている場合は、保育時間の長さをチェックしておきましょう。
認可保育園の基本的な保育時間は11時間で、保護者からの要望によって延長保育を実施します。
しかし、認可外保育園はもとから開所時間が長く設定されていることがあります。
園の保育時間は必ず確認しておきましょう。
保育方針に共感できるか
認可外保育園の場合、独自の保育理念を掲げていたり、英語教育や音楽、ダンスなどに力を入れていたりと、ユニークな取り組みを行っている施設もあります。
園の保育方針が、自分の目指す保育の方向性と合っているかを確認しましょう。
待遇面
認可外保育園は補助金がない分、認可保育園よりも給料が低い傾向があります。
その半面、認可外保育園は保育料を独自に設定できるため、認可保育園より高い金額を設定して安定した運営を行っていて高い給料を出している場合もあります。
大企業が運営母体の園では、保育士の福利厚生や休暇制度など待遇面がしっかりしていることもあり、認可外だから待遇が悪いとは一概には言えません。
人員配置
認可外保育園では、ぎりぎりの人数でまかなっていたり、人手が明らかに不足していたりすることもあります。
認可外に対しても定期的に自治体による立入調査が行われるため、一定の基準をクリアしているはずで、認可外と言えども保育環境に大きな問題はないでしょう。
ただ、人員配置に余裕がないと休みを取りづらかったり、残業が多くなってしまったり、持ち帰りの仕事が発生したり、保育士の負担が大きくなりますので、その辺は事前に必ず確認しましょう。
認可と認可外の違いを知っておく
認可保育園は、国の基準を満たしている児童福祉施設で、国から補助金を受けられるため安定した運営を図れます。
認可外保育園は、国の基準を満たしていない半面、施設ごとに特色のある保育を提供できます。
認可外は補助金支給はないものの、保育料を独自に設定できるため、園によっては保育士の給料が高いこともあります。
認可保育園にも認可外保育園にも、それぞれ異なるメリットデメリットがあります。
両者の違いをしっかりと踏まえたうえで、自分に合った保育園を選びましょう。
まとめ
民間の保育施設には、国の基準をクリアして、国から補助金を受けて運営している認可保育園と、小規模で国の基準をクリアしてはいないけれどユニークな保育方針などを実施している認可外保育園があります。
無認可保育園とも呼ばれる認可外保育園の中には、自治体の認証を受けた「認証保育園」もあります。
認可外と言っても、「認可外保育施設指導監督基準」によって、職員数や設備に関して一定の基準が設けられていますし、
厚生労働省の指針に基づいた各自治体の立ち入り調査が定期的に行われています。
本記事で認可と認可外の保育園の違いやメリット・デメリットをふまえて、就職・転職先の保育園を探しましょう。
あなたにとってよりよい保育園に就職・転職できることを願っています。
【関連記事】[登録無料]保育士の転職求人サイトと学童・児童館の転職求人サイト合計14社比較>>>
【関連記事】[転職]こんなにある保育士就職先!保育士資格が必須または優遇される保育園以外の職場>>>
【関連記事】保育士辞めたい!保育園辞めたい!でも言えない、けど転職したい!>>>