「障害児の学童」とも言われる「放課後等デイサービス」。
大変な仕事ではありますが、とてもやりがいのある仕事です。
保育士資格保有者が就職・転職を考えるなら、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
本記事では、「放課後等デイサービス」とは? 必要な条件・資格、仕事の内容、保育士や保護者のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
「放課後等デイサービス」とは?
「放課後等デイサービス」は平成24年4月に児童福祉法(昭和22年法律第164号)に位置づけられた新たな支援です。
「放課後等デイサービス」は障害のある就学児童向け学童のようなサービスであり、一般的な学童に馴染むのが難しい障害児のための支援サービスのため、「障害児の学童」と言われることもあります。
「放課後等デイサービス」は障害のある児童(小・中・高校生)が学校後や長期休暇中に通う事が出来る施設になります。
障害のある子どもたちの放課後の居場所を作ることで、仕事で忙しい保護者などのサポートに寄与します。
「放課後等デイサービス」で行われるプログラムは主に生活力向上を目的としています。
計算能力や文章校正能力といった基礎的な能力の向上はもちろん、パソコンを使ったプログラミングなどを行ったりします。
施設により異なるさまざまなプログラムがあります。
「放課後等デイサービス」厚生労働省のガイドライン
厚生労働省によるガイドラインには、下表のように記述されています。
サービス内容 | 授業の終了後又は学校の休業日に、児童発達支援センター等の 施設に通わせ、生活能力向上のために必要な訓練、社会との交流の 促進その他必要な支援を行う。 |
主な人員配置 | 指導員または保育士 10:2以上 児童発達支援管理責任者 1人以上 管理者 |
対象 | 学校教育法第1条に規定している学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学しており、授業の終了後又は休業日に支援が必要と認められた障害児。 |
事業所数と利用者数
- 事業所数 4,595 (国保連平成26年4月実績)
- 利用者数 79,680(国保連平成26年4月実績)
「放課後等デイサービス」の基本的役割
「放課後等デイサービス」の基本的役割は以下の3つです。
- 子どもの最善の利益の保障
- 共生社会の実現に向けた後方支援
- 保護者支援
1,子どもの最善の利益の保障
「放課後等デイサービス」は、支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に 応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図るものである。
2,共生社会の実現に向けた後方支援
放課後児童クラブや児童館等の一般的な子育て支援施策を、 専門的な知識・経験に基づきバックアップする「後方支援」としての位置づけも踏まえつつ、必要に応じて放課後児童クラブ等との連携を図りながら、適切 な事業運営を行うことが求められる。
さらに、一般的な子育て支援施策を利用 している障害のある子どもに対して、保育所等訪問支援を積極的に実施する等、 地域の障害児支援の専門機関としてふさわしい事業展開が期待されている。
3,保護者支援
「放課後等デイサービス」は、保護者が障害のある子どもを育てることを社会的に支援する側面もあるが、より具体的には、下記の3つが挙げられます。
- 子育ての悩み等に対する相談を行うこと
- 家庭内での養育等についてペアレント・トレーニング等活用しながら子どもの育ちを支える力をつけられるよう支援すること
- 保護者の時間を保障するために、ケアを一時的に代行する支援を行うことにより、保護者の支援を図るものであり、これらの支援によって保護者が子ど もに向き合うゆとりと自信を回復することも、子どもの発達に好ましい影響を及ぼすものと期待される。
「放課後等デイサービス」を利用できる対象者
「放課後等デイサービス」を利用できるのは、基本的には障害のある小学生・中学生・高校生です。
ただし、継続してサービスを利用しなければその福祉を損なうと行政が判断した場合はその限りではなく、20歳まで続けて利用することも可能です。
「放課後等デイサービス」の従事資格
以前は、資格を持たない者でも従事できましたが、下記の資格等を有する者でないとサービスに従事できません。
保育士
当サイトでは説明は不要ですね。
児童指導員任用
「児童指導員」という資格はありませんが、下記の条件を満たした者が名乗ることができます。
- 4年制大学で指定の科目を修了
- 厚生労働大臣の指定する養成施設を卒業
- 高校卒業以降2年以上児童福祉事業に従事
- 3年以上児童福祉事業に従事した者であって厚生労働大臣または都道府県知事が適当と認定した者
- 社会福祉士等の資格保有者
など、いずれかに当てはまれば、あなたは「児童指導員」になれます。
児童発達支援管理責任者
「放課後等デイサービス」の施設全体の管理や、スタッフへの指導、児童や保護者との面談、個別支援計画の作成等を行います。
施設のリーダー的な存在、サービス管理責任者になるには次のような条件を満たす必要があります。
障害者の保険・医療・福祉・就労・教育の分野における直接支援・相談支援などの業務における実務経験5~10年を持ち研修を修了した者
「放課後等デイサービス」の主な仕事
「放課後等デイサービス」での仕事は、施設によって多少の違いはありますが、基本的には以下のような内容と言えます。
個別支援計画に基づいた支援
「放課後等デイサービス」に通う児童・生徒は、障害の種類や程度が異なります。
そのため必要な支援や療育プログラムは個別支援計画に基づいて実施されます。
具体的な仕事としては、個別の療育プログラムに沿って課題に取り組む際の補助、学習指導、集団での遊び、余暇の提供等になります。
支援はそれぞれの児童や生徒に合った方法で行われ、日常生活を送る上で必要な言語能力や計算能力などの向上を図ります。
創作活動、運動、音楽などを通じて行うこともあります。
また、社会経験を豊かにするために、地域の行事に参加したり社会見学を実施するなど、施設外に出向くこともあります。
子どもの送迎
「放課後等デイサービス」との行き来は、スタッフが対応することが多く、学校のある平日は下校時に学校に迎えに行き、施設の終了時刻には自宅へ送り届けます。休日は、自宅への送り迎えを行います。
車で送り迎えする施設もあり、自動車免許を持っていると採用時に有利とも言われます。
書類の作成や保護者とのコミュニケーション
「放課後等デイサービス」を利用する児童・生徒のケア記録などの書類を毎日作成します。
保護者からの相談に乗ったり、面談をすることもあります。
「放課後等デイサービス」のメリット/デメリット
保育士側のメリット
- 社会貢献ができる充実感
- 一人ひとりとじっくり関わることができる。
- 比較的アットホームな環境で働ける
- 障害のある子たちが成長していく姿を近くで感じられる。
- 障害のある子どもの支援について学ぶことでスキルアップにつながる。
- 資格の知識を多方面で活かせる。
- 障害のある子どもの支援のプロを目指せる
- 将来的ニーズが高い。
保育士側のデメリット
- 障害の種別や状況に応じた1人1人の違いに応じた個別対応の難しさ
- 幅広い年齢に応じた発達段階の把握が必要
- 体力的・精神的にもハード
- 専門機関や学校、地域社会と連携をとりながら職員同士チームで動くため、高いコミュニケーション能力が必要
- 少人数運営の場合が多く、子どもがパニックを起こした際など人手不足になりがち
- 保育士の知識だけではケアのすべてをカバーできない
- 1人の子どもにつきっきりでケアすることも
保護者と子どものメリット
- コミュニケーション能力が向上する
- 学習する力がつく
- 社会性が身につく
- 子どもの居場所ができる
- 保護者の時間ができる
保護者のデメリット
- 子どもにとって負担になる場合がある
- 施設が遠い場合がある
「放課後等デイサービス」の気になる給与
「放課後等デイサービス」に保育士として携わる場合の給与を調べました。
埼玉県の求人の一例
給与 | 正職員 月給 247,000円 ~ |
仕事内容 | ・放課後等デイサービスでの現場(療育)業務 ・児童の送迎、それに付随する業務 ・イベント等の企画・提案、その他の事務作業 |
応募要件 | 保育士有資格 |
東京都の求人の一例
給与 | 正職員 月給 240,000円 ~ 460,000円 |
仕事内容 | 放課後等デイサービスに係る各種業務 ・こども達の療育 ・活動スケジュール立案 ・療育プログラム計画、準備 ・イベントプロ… |
応募要件 | 保育士資格をお持ちの方 未経験OK 年齢・経験不 |
千葉県の一例
給与 | 正職員 月給 252,000円 ~ 500,000円 |
仕事内容 | 千葉県千葉市にある本町教室は、学校が終わった後の子ども達が集う放課後等デイサービスです。 知的・発達障がいの子ども達を対… |
応募要件 | 保育 |
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まとめ
「放課後等デイサービス」とは? 必要な条件・資格、仕事の内容、保育士や保護者のメリット・デメリットなどを詳しく解説しました。
「放課後等デイサービス」の需要は、少子化にも関わらず年々増しています。
民間事業の参入によって「放課後等デイサービス」は増加傾向にあります。
仕事は大変ですが、とてもやりがいのあるしごとであり、保育士資格を持っている方が就職・転職を考える際には検討する価値のある仕事です。
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